藤原紀香さんって女優だそうですけど代表作って何ですか?禅骨です。

隠れ家レストランひぐらし

そんな訳で、今回ご紹介するのは『隠れ家レストランひぐらし』さんです。

隠れ家レストランひぐらし

とても厳かな佇まいの石段と対照的に、ポップなイラストと「滝氷」の文字が目を引きます。

そしてよく見ると看板には『隠れ家レストランひぐらし』の横に『肉月美術館』と書かれています。

「肉月」という言葉の世界観が何となく「くっきー」的なニオイがしますが
隠れ家レストランひぐらし

どうやら全くの別物で、元々アーティストで絵画を描いているオーナーの「中村武」さんがレストランと併設して自分の作品を展示しているようです。

ちなみに「肉月」とは人間の身体に関係する漢字に使われる偏の名称で(「脳」や「脈」など)、自身の作品が人間のストーリーや感情を扱っているので『花鳥風月』に対抗して『肉月』との事です。

隠れ家レストランひぐらし

とにかく美術館もレストランもこの石段を上ったところにあるようなので進んでいきましょう。

またこのアプローチがとても趣があり、一段上るごとに喧騒が遠のき異世界へ迷い込むような感覚に陥ります。



隠れ家レストランひぐらし
隠れ家レストランひぐらし

そして到着した美術館兼レストランもまた素敵な古民家で、これまた気分が高揚してきます。



隠れ家レストランひぐらし

積まれた薪は古民家風を演出するディスプレイではなく、実際に料理のかまど炊きに使用されている本気のやつです。

高まる期待を胸に入り口へ向かうと柱に注意書きが掲示されており、どうやら名簿に名前を書いて先にメニューを決めてから入店システムのようです。



隠れ家レストランひぐらし

夫婦二人で営んでいらっしゃるようなので、オーダーや案内を極力簡略化するためかと思います。

ちなみに石段を上る前の看板のところにメニューが掲示されていますので、そこで事前に決めておくとスムーズに入店できます。



隠れ家レストランひぐらし
隠れ家レストランひぐらし

その中から『ひもの膳(金目鯛)』『滝うどん』『焼きおにぎり(山椒醤油)』『滝氷(ニューサマーオレンジ)』を選んでみました。

入り口の土間で室内履きのサンダルに履き替え、調理場にいるお店の方にオーダーを伝えると2階へと通されます。

隠れ家レストランひぐらし
隠れ家レストランひぐらし

この細く急な階段も屋根裏の秘密基地に向かうような感覚でワクワクしてきます。

そして2階に上がると意外に広いスペースがあり、座卓・テーブル合わせて7~8卓ほどありました。

隠れ家レストランひぐらし
隠れ家レストランひぐらし

天井には噂の肉月作品が飾られていますが、何の違和感もなく景色に溶け込んでいます。


隠れ家レストランひぐらし
隠れ家レストランひぐらし

そして何より竹林に囲まれた窓からの眺め、川のせせらぎやセミの声、8月なのに涼しくそよぐ風、煙突から吐き出される薪の煙のかおり・・・心が一気に解放されていくのが分かります



隠れ家レストランひぐらし
隠れ家レストランひぐらし


不思議と誰もが「懐かしいなぁ~」とノスタルジーに浸り、皆一様に「おばあちゃんちに来たみたい」と感想を漏らします。

多分東京生まれヒップホップ育ちの人でも同じことを言うと思います。



隠れ家レストランひぐらし


きっと日本人のDNAに刻まれている『田舎』の定義がこのお店には詰め込まれているのでしょう。

ちなみにこの古民家、建物自体を福島から解体して静岡まで運んでセルフビルドで8年かけて建てたとのことです。


プロフィールによれば群馬県生まれのご主人が福島でこの建物を見つけて、縁もゆかりもない静岡の河津に移築したわけです。


芸術家としてのこだわりを感じるとともに、実際この空間を体験するとこの地に魅了される気持ちが分かります。

ひとしきりシチュエーションを堪能したころ料理が運ばれてきました。

焼きおにぎり(山椒醤油)450円

焼きおにぎり 山椒醤油

ひもの膳(金目)1280円

ひもの膳金目
ひもの膳金目
ひもの膳金目

滝うどん(大盛り)1120円

滝うどん

滝氷(ニューサマーオレンジ)610円

滝氷ニューサマーオレンジ

もうシチュエーション通りの味というんですかね、素朴でシンプルなのですが一つ一つの工程に手間暇が掛かっているのが伝わってくる温かい味わいです。


コスパ重視、映え重視のこのご時世にこれだけ飾らない料理が食べられるのは私が知る限りこちらのお店だけです。

というか食べログ的な味とか値段とかの評価はここでは非常にナンセンスで、この料理も含めて『隠れ家レストランひぐらし』という一つの作品なのです。


焼きおにぎりが作り置きだったのか冷めていて表面もカリカリじゃなくカピカピだったとか、七輪の炭を扇風機の風で強火にしようとしたご主人に大量の灰をぶっかけられたとか、かき氷のシロップが少なくて後半はシャーベット状の水を飲んでただけだったとか、そんな事はどうでもいいのです。

そんな事はどうでもいいのです。

そんな事は多分どうでもいいんじゃないかな。

そんな訳で飲食店としては賛否が非常に大きく分かれますので、美術館へ鑑賞に来る感覚で訪問すると良いのではないかと思います。


ちなみに駐車場はありませんので、300mほど離れたところにある『河津七滝駐車場』という無料駐車場を使うと便利です。

『隠れ家レストランひぐらし』


〒413-0501 静岡県賀茂郡河津町梨本1112-4


TEL : 0558-36-8505